サッカーママと監督~火遊びの代償(第六章)

サッカーママと監督~火遊びの代償 第六章 サッカーママと監督~火遊びの代償

スクールの関係者は二人が高校の同級生だから親しくしていても疑うことはなかったが、やはりママたちは気になる。

「ねえ、亜希子さん、今日も監督とお出かけよ」
「会議じゃないの?」
「だって、会計幹事が一緒に行く必要はないでしょう?」
「それもそうね。怪しいかな?」
「怪しいとは言えないけど、ね、ひょっとしたらって、ふふ、エッチかな?」
「やだ、そんなこと考えていたの、えっ、本当だったら、どうしよう?」
「ははは、想像しちゃった?」

子供たちの応援が終われば、ママたちはこういう話が大好き。

「焼け木杭に火がついた」とは正しく亜希子と横田のことだろう。
共に家庭がある身だが、20数年ぶりに互いの体を味わった二人は、どちらからと言う訳ではなく、時間を見つけてはホテルで過ごすようになっていた。

9月、ライバルチームの山田監督が帰らぬ人となった。

春先から体調が優れないとは聞いていたがかったが、まさかこんなことになるとは……

「山田さん、まだ55歳なのに、きっと無念だっただろうな」
「優勝出来たのが、せめてもの救いですよね」
「すい臓癌って怖いのね。気が付いた時にはもう手遅れなんですって」
「いい監督は早死にかな」

通夜の席、ママたちはこう言って涙ぐんでいた。亜希子は監督の横田と一緒にお通夜に来ていたが、香典袋に10,000円しか入っていないことに気が付いた。

リーグ関係者が亡くなった場合には、会則で10,000円の香典を出すことになっていたが、今回は横田が「特別に上乗だよ」といって、30,000円を引き出していたのに、それが無い。

「亮ちゃん、お金足りないわよ」と横田を見ると、「ちょっと小遣いが足りないんだよ」と頭を掻いていた。

ホテル代と食事代。逢瀬にはお金がかかる。彼には中学生の長男と小学生の長女、二女の3人の子供がいる。亜希子も夫が四国に単身赴任しているので二重世帯。二人とも経済的にゆとりがあるわけではない。

亜希子も横田を責められない。スクールの定例会は毎月あるが、その度に1,000円単位に引き出すが、おつりが戻していなかった。時にはプライベートの領収書を紛れ込ませたことも一度や二度ではなかった。

自分がミスした時から、横田は見逃してくれていた。

黙っていれば分らない、二人だけの秘密

亜希子は横田と体だけでなく、お金の面でも誰にも言えない仲になってしまった。

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