「そんなことって…嘘でしょお父さん!?」
私は大声で叫んでしまいました。
私は南夏帆、18歳
今年の4月から大学生として学校へ通う女の子です。
今まで社長令状としてしっかりと育てられ、周りからは『温室育ちの夏帆ちゃん』なんて呼ばれていました。
苦労なんて勉強と部活いわいる学校生活でしかしたことがなく、それも元々頭のいい夏帆にてとって勉強や部活などの苦労はどちらかと言えば充実感に近いものでした。
しかし今し方お父さんから信じられないことを告げられたんです。
「実は去年から業績が傾きつつあってな、今年の3月でうちの会社が倒産するんだ」
母と私は驚きを通り越し頭が真っ白になり何も言えずにいた。
この18年間住んできた家はどうなるの?
私の大学生活は?
一人暮らしはできるの?
これからどうなってしまうの……
私も母も、もちろん父も今後の不安で胸がいっぱいでした。
母に関しては目元が赤く腫れ上がり今まで見たことのない様な顔で泣いていました。
私も顔が青ざめ具合が悪くなり自室に戻ろうとした時、父からこんな話を聞きました。
「そ、それで相談があるんだが……」
内容は父方の親戚でお金を持っている伯父様がいるらしくある条件を飲んでくれれば会社の借金と家の生活費、もちろん夏帆のいく大学の費用から生活費まで父が立て直すまで援助してくれるという話だったのです。
私たちは青ざめた表情から明るさを取り戻し是非その叔父様に協力を得ましょう!と力強く言いました。
ですが、父はなんとも言えない表情でこちらを見てこうも告げたのです。
「実はその条件というのが夏帆、君自身のことなんだ……」
私は一瞬言っている意味がわからず父に向かって「どういうこと?」ときょとんとした顔で聞き返しました。
すると父は、伯父が趣味で経営しているメイド喫茶で代理店長を夏帆にやらせてくれればお金を工面すると言われているといい、渋い顔をして下を向いてしまいました。
母はまさか!という顔で父の方を向き、怒りを押さえながらこう言いました。
「まさか夏帆にそんなことをさせてまで私たちは生活しなければいけないの!?」
父は体を震わせながら、「家庭や生活だけではない、会社のこともあるんだ……」
父はこうも言いました「もちろん如何わしいことは絶対にさせない、ただ若い女の子を近くに置きたいだけなんだと叔父は言っていたから大丈夫だと思うんだが……」
母はそれでも納得がいかない様で「そんなのあったこともない人に夏帆を預けて、しかもお金まで工面してくれるなんて体のいい話があるわけないじゃない!そんなのバカでもわかるわよ!」
二人は言い争いを始めてしまい、私はどうしていいかわからず、その現場を見ているだけでした。
でも今の現実が本当に起こっていることだとも正直、認識できず夢でも見ているのではないかと思うだけでした。
父は母と私に向かって「二人とも辛いことはわかっている。全て私の責任だが今を救えるのは夏帆、お前しかいないんだ。わかってくれ……」と涙組ながらいうのでした。
母は絶対に反対です、と言い返してはいたが不安と少しの希望と絶望を合わせた様な顔で父と私を交互に見つめました。
私は「少し考えたい……」といい席を立ち自室に戻りました。
今まで温室育ちとも言われていた夏帆がまさか大学に上がって知らない叔父様のお店でバイトをしなくてはいけないなんて……
考えたこともないことなかった夏帆はどうしたらいいか考えても考えても答えは出ませんでした。
1階では母と父が言い争っている声も聞こえてきてどんどん憂鬱になります。
友達にも相談できないこの事態に私は一旦忘れるかの様にベットに横になり眠りにつくのでした。
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