夏休みが終り、二学期が始ったが、浩介は何も処分を受けなかった。
だが、弥生に「浩介君」と呼ばれると、妙に意識してしまい、「は、はい」と声が上ずってしまうことがあった。「どうしたんだ?」とクラスメイトに聞かれ、「あ、いや、夏休みにこってり絞られちゃって」と言い訳すると、「お前でもそうだったのか」と、かえって同情されてしまった。
だが、弥生も同じようなものだった。さすがに大人だから、声が上ずったり、顔が赤くなったり、外見で分かってしまうようなことはなかったが、出席簿で「矢野浩介」の欄に鉛筆で印を付けてみたり、時には、誰にも気が付かれないように、遠くから見つめてしまうこともあった。
結果的に、あの出来事は互いを意識させるには十二分な効果があった。
そして、10月。校内は学園祭一色に染まる。
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