女の一人寝
「パパはママとは違う女の人と暮らすことになったの」
弥生は子供たちに簡単に伝えたが、3泊4日の予定で出掛けた母親が翌朝には夜行バスで帰ってきた、中学2年生になる長男の芳樹(よしき)はそれだけで、子供には言いたくない事情があることを察し、何も言わずに下を向いていた。
しかし、まだ小学生の長女の彩花(あやか)は無邪気なもの。「それでママはどうするの?」と聞かれた弥生は堪えていた涙が止めなく目から涙が溢れ、「ママはずっとあなたたちと一緒よ!」と二人を抱き締めていた。
離婚に向けた調停はこれから始まるが、子供たちは多感な思春期、余計な波風は立てないようにと、夫が荷物を取りに来るまでは、家の中にそのまま置いておくことにした。
だが、一人で眠るベッドは寂しい。
弥生は23歳の時、処女で結婚した。25歳で長男を、27歳で長女を出産したが、「セックスは子供を作るもの」と考えていたので、性的な悦びはあまり感じなかった。だが、30歳を過ぎ、特に長女が小学校に通うようになった33歳頃から、とても感じ易くなった。
夫が単身赴任する前は、生理の時以外はほぼ毎日セックスをしていた。
単身赴任になった、この3年間は、夫と過ごせる時は甘え、抱かれれば狂ったように悦んだ。
先日も高松駅に着いた時から下着は濡れていた。それだけに夫の裏切りは許せない。
弥生はタンスからネットで買い求めたバイブレーターを取り出した。
スイッチを入れると、黒いヘッドがブーン、ブーン、ブーンと音を立てて首を振る。
ねえ、どうしてなの、どうして私を抱いてくれないの……
心では夫を憎んでいるが、体には未練がある。
「あ、いや、いや、はうっ……ううっ、う、う、うっ……」
パンティを下ろした弥生はバイブレーターで小陰唇の辺りをなぞると、早くも溢れ出た愛液が太腿を伝わり、シーツに染みを作る。そして、バイブレーターを濡れて開いた膣口から挿入すると、体が反り上がり、「そ、そ、そこよ、あ、ああっ…」と呻きが大きくなってきた。
隣りの部屋では子供たちが寝ている。聞かれてはいけない。脱いだパンティを口に押し込むと、バイブレーターの回転を上げた。
「あ。う、うぅっ……」と低く籠った呻き、弥生の全身がわななき震える。
「はぁ、はぁ、い、い、逝く、逝く、いっ、逝っちゃう、逝っちゃう……」
ぐったりとベッドに横たわる弥生には。染みの出来たシーツを替える気力は無くなっていた。
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